「国産稲わら」利用拡大に向け課題も。

粗飼料の自給率向上に向け、国産稲わらの飼料としての利用拡大が推進されているが、保管場所の確保や輸送コストなどが課題に。

国内には豊富な稲わらがあるが、飼料として主に肥育牛に与えられている稲わらは全体の9%程度となる年間93万t(2021年)。うち国産が76%、残りは中国から輸入され、2021年度は22万5,000tが輸入されている。輸入稲わらは在庫管理を業者に任せられるため、保管場所の確保などが要らないといったメリットがあるが、2022年はコロナ禍で輸入が停滞。また、価格も2021年度は1kgあたり43.4円だったものが同60.7円と大幅に値を上げており、価格に関するメリットは薄くなっている。このため、国産稲わらの利用に対する関心が高まっている。
ただ、稲作が盛んで稲わらの供給源となる東北と、畜産が盛んな九州では距離があるため、輸送コストの問題から国産利用が進んでいないのが現状。また、稲わらはかさばるため保管に多くのスペースが必要となる。
農水省は「畜産生産力・生産体制強化対策事業」として、稲わらの収集に必要な機械や保管場所確保の取り組みや、飼料化に必要な調製・分析や器具・器材導入の取り組みを支援。地方自治体でも、青森県では行政を中心にマッチング事業を展開している。

参考リンク:飼料(農林水産省)