水稲高温障害を防ぐには、出穂期に窒素施肥。

水稲の高温障害は、白未熟粒や胴割粒の増加など玄米の外観品質や、食味の低下の要因とされる。出穂前に適切な窒素施肥を行うことで、これらを抑制することが可能となる。

地球温暖化の影響から、毎年のように記録的な猛暑の日が続く。水稲は、出穂期や登熟期に気温が極めて高くなると、不稔や登熟障害が発生する。
新潟県でこしひかりと並ぶ主力品種で高温耐性が高い「新之助」でも、登熟期の気温が極めて高温に推移した場合に品質低下が懸念される。品質低下抑制の実証では、出穂期の葉色から葉緑素量を測定。高温が続くと葉色の指数が平年より下がり、未熟粒や胴割粒が増加した。これは高温により稲の窒素栄養状態が低下するためと考えられる。そこで10aあたり窒素成分で2kgの追加施肥を行うことで品質低下が抑止できると判明。
県育成品種「彩のかがやき」が2010年に白未熟粒が多発し77.3%が検査で規格外となる被害を受けた埼玉県では、高温が続くと平年より出穂前23日の葉色が薄く、色が薄いほど白未熟粒が多くなる傾向がみられた。そこで出穂前23日に穂肥施用し、7〜14日後に改めて葉色診断を実行、葉色が薄い場合に、10aあたり窒素成分で2kgの追加施肥を行うことで白未熟粒の発生を抑制することができた。

参考リンク:新潟県農業総合研究所(研究報告:PDF)
     :埼玉県農業技術研究センター(報告:PDF)