急傾斜の畑が6年間で3割減。
急傾斜地など条件不利地で、畑などの面積が大きく減っている。条件不利地で5年間の営農継続を要件に交付金を支払う「中山間地域等直接支払制度」の、急傾斜地の畑の取り組み面積は、2020年までの6年間で3割減少した。
交付面積の減少率は、緩傾斜地(傾斜が100分の1以上の田/8度以上の畑)に比べ急傾斜地(傾斜が20分の1以上の田/15度以上の畑)が高い。2020年度は対2014年度比で、田の緩傾斜地が+2%の15万3,000haに対し、急傾斜地では−12%の13万9,000ha。畑の緩傾斜地が−20%の1万5,000haに対し、急傾斜地が−29%の2万9,000ha。
急傾斜にある畑の交付面積減少率を都道府県別に見ると、最も高いのは−48%(1,277ha)の静岡県。次いで−41%(1,382ha)の福岡県、−30%(2,098ha)の熊本県、−28%(7,050ha)の愛媛県、−21%(8,063ha)の和歌山県が続く。いずれも茶や果樹の生産が盛んな県になる。
急傾斜の茶や果樹の園地は作業負担が重いため、農家の高齢化などで管理が難しくなっている。また、作業負担を軽減する改植や省力樹形の導入などは、実施後の未収益期間が発生することから、営農継続を断念するケースにつながる。
これを受け、2020年度からは交付金の満額交付の要件に「集落戦略」の策定が盛り込まれた。農地の将来の受け手を特定し、改植をはじめとした農地維持の具体策を定めることを求めていく。
参考リンク:中山間地域等直接支払制度(農林水産省)