農水補正予算5,849億円、和牛倍増へ向けて奨励金も。

2019年度農林水産関係補正予算案が閣議決定された。この予算案の総額は5,849億円、2018年度に比べ152億円(2.5%)減少した。このうち、2020年1月に発効する日米貿易協定などへの国内対策費は3,250億円。
目玉は和牛生産の倍増に向けた「増頭奨励金」。中小規模の農家への支援を手厚くするため、飼養頭数が50頭未満の繁殖農家に1頭当たり24万6,000円を交付する方針。
増頭奨励金の交付単価は、50頭以上の農家が17万5,000円、都府県の乳用後継牛が27万5,000円とする。奨励金を含む和牛・乳用牛の増頭・増産対策には243億円。日米協定での牛肉輸出枠の拡大や中国への輸出解禁をにらみ、2035年までに和牛生産を30万トンに倍増させる計画。
畜産地帯での機械や施設の整備を支援する畜産クラスター事業には409億円。規模要件を緩和し、中小農家の規模拡大を目指す。
産地生産基盤パワーアップ事業(旧・産地パワーアップ事業)は348億円。流通拠点やコールドチェーンの整備および中小・家族経営の継承の円滑化や堆肥を使った全国的な土づくりも支援する。
担い手育成対策などには64億円を計上。40歳前後の就職氷河期世代に就農準備交付金を支給する。そのほか50代の就農研修も助成。
棚田地域振興法の制定を受け、棚田・中山間地域対策には282億円。
公共事業費は2,991億円。このうち農地の大区画化・汎用化に270億円、水田の畑地化などに566億円を充てる。台風19号などの復旧対策は公共、非公共合わせて2,144億円。
危害分析重要管理点に対応した輸出施設整備などに108億円、豚コレラなどの家畜伝染病予防費に57億円、先端技術を活用したスマート農業技術の開発・実証プロジェクトに72億円を割り当てる。