新たな地球温暖化対策。カリウムの施肥を抑制して多収イネを栽培する。

多収イネを栽培する際に、カリウムの施肥量を抑えると、分解しづらく長期間土壌に炭素を蓄積させることができる「難分解性炭素」が形成・蓄積される。
多収イネは、肥料のカリウムが不足した場合、根が土中の鉱物を壊すことでカリウムとケイ酸を吸収する。鉱物はカリウム、ケイ酸の他にアルミニウムを含むため、土壌に残ったアルミニウムが炭素と結びつくことで難分解性炭素が形成。このため水田に炭素が蓄積されたと考えられる。
栽培試験では、カリウム施肥を抑えた多収イネ(北陸193号)の水田にはアルミニウムなどと結合した難分解性の炭素が、11年間で10aあたり76.3kg(1年間の平均では10aあたり6.9kg)蓄積された。一方、カリウムを十分に施肥したコシヒカリの水田には難分解性炭素の蓄積はなかった。
多収イネのカリウム施肥を制御することで、生産性を落とさずに人為的に難分解性炭素の土壌蓄積を促進できる可能性が出てきた。世界では約1億6,000万haでイネが栽培されており、イネの施肥管理が地球温暖化を緩和するための有効な手段になることが期待される。

参考リンク:農研機構