ネコブセンチュウの防除に葉緑体の成分「フィトール」が有効。

植物の根に寄生し瘤状の塊を作り腐敗させる植物寄生性線虫の1つで、重要微小害虫の「ネコブセンチュウ」の防除に、葉緑体に含まれるクロロフィルが分解されるときに放出される成分「フィトール」が有効であることが実験で確認された。

実験植物のシロイヌナズナの根では、ネコブセンチュウに寄生されるとフィトールが増加。フィトールに防除効果があると考察し、フィトールを根に与えたうえでネコブセンチュウを放したところ、根に侵入したネコブセンチュウの数は3分の1に減少。同じ実験をトマトでも行い、同等の成果が得られた。
フィトールを与えた根では、ネコブセンチュウに対する抵抗性を誘導する植物ホルモンの「エチレン」の放出が高まることも確認。フィトールにはネコブセンチュウに対する直接の殺虫効果はないが、エチレンの生成を通じて植物の線虫抵抗性を高めると判明。
今後は、屋外の圃場での実験を行って有効性を確認するほか、シストセンチュウやネグサレセンチュウに対する効果を検証。農薬メーカーなどと連携し、あらたな線虫防除剤の開発につなげる。

参考リンク:農研機構