農業ではGAPやHACCPなどの規格・認証に注目。

流通の広域化や国際化が進む中、海外の商品との競争力維持や差別化、ブランド力の維持・向上のためには、客観的な規格・認証制度や知的財産権の取得等により、自らの商品価値を証明し、守っていく必要があり、安全でおいしく高品質であるとの評価を得ている日本の農産物も例外ではない。
日本には、以前よりJAS(日本農林規格)や品種登録制度等が整備され、制度の改善もされている。また、最近は「GAP」(農業生産工程管理)や「HACCP」(危害要因分析・重要管理点)、「GI3」などの保護制度を含めた規格・認証制度や知的財産制度が増えている。農業関係者は自分の生産する農産物・食品の信頼性や価値の維持・向上と、競争力を強化するためには、これらを正しく理解し、活用することが重要なこととなっている。
(1)GAP(農業生産工程管理)は、農業者が、食品安全、環境保全、労働安全等の観点から自らの生産工程をチェックし改善する取組。具体的には、資材等の整理・整頓や各作業の手順等をマニュアル化し、肥料、農薬の使用や作業の履歴を記録・点検し、必要な改善を行うこと。
〇「GLOBALG.A.P.」:ドイツの第三者機関による認証で青果物・水産養殖に関してGFSI(世界食品イニシアティブ)の承認を受けている
〇「ASIAGAP」:2018年にGFSIの承認を得た日本GAP協会の青果物・穀物・茶に関する認証
〇「JGAP」:日本GAP協会の青果物・穀物・茶・家畜・畜産物に関する認証
の3種類が日本では普及、GAP認証を取得している経営体数は2018年6月末時点で4,805経営体。
(2)HACCP(危害要因分析・重要管理点)は、食品の製造・加工工程ごとに微生物汚染等の危害要因を分析し、危害の防止につながる特に重要な工程を継続的に監視・記録する衛生管理システム。HACCPを導入することで、問題のある食品の出荷を効果的に未然防止ができ、HACCP導入義務化の動きが世界的に広がっている。2018年6月に公布された食品衛生法の一部を改正では、原則としてすべての食品等事業者がHACCPに沿った衛生管理に取り組むことが盛り込まれた。