犬の遺伝子に、人に慣れるための変異が。

最古の家畜とされる犬は、進化の過程でストレスホルモンに関わる遺伝子が変異することで、人と一緒にいても強いストレスを感じなくなったとみられる、とする研究成果が発表された。

家庭で飼われている犬約620頭を対象にした実験では、遺伝的にオオカミに近い柴犬など日本犬種と、オオカミから離れたプードルなど欧米犬種を、2つのグループに分けた。
2つのグループそれぞれの犬に、餌が入っているが自力では開けられない容器を与え、人の方を振り向くまでの時間を調査。欧米犬種は16秒ほどで振り返ったが、日本犬種は36秒だった。また、欧米犬種は実験中に人を見つめる回数が多かった。オオカミに同様の実験をした場合、人の方を振り向くことはないという。
2つのグループでは、ストレスホルモンの「コルチゾール」を作り出す際に関わる遺伝子「メラノコルチン2受容体遺伝子」のSNP(1塩基多型)のうち、2つの割合が異なっており、この割合の違いが、人を見つめる頻度が高くなることと関連していた。
このことから、メラノコルチン2受容体遺伝子は、犬が強いストレスを感じずに人のそばにとどまるよう進化する役割を果たしたと考えられる。

参考リンク:プレスリリース(麻布大学)