鹿の生息密度の減少が農業被害抑制につながる。
鹿の生息密度を1平方kmあたり10頭以下にすることで農業被害を一定程度抑制できることが、大阪府立環境農林水産総合研究所生物多様性センターの調査から判明。
野生鳥獣の農業被害は、2020年度で約161億円。鹿による被害が最も多いが、鹿の頭数に比例して被害が増えるという仮定を基にした対策では農業被害の減少が進まない。被害を減らすためには、まず生息数の正確な把握と、その生息密度と被害の相関関係を解明することが必要。そこで従来の鹿の糞を数える手法を発展させた「ふん塊除去法」を考案。200平方メートルに設定した調査地点の糞を一度除去。10粒以上を1回の排便とみなし塊で数えることで簡便化し、一定期間に増えた糞の塊を数えることで、1平方kmあたりの頭数が推計できる。
主な生息域である大阪府北部7市町の約100ヵ所に調査地点を設定し、被害と重ね合わせたところ、1平方kmあたりの生息数が10頭を超えると急激に被害が増えた。30頭を超えると被害の大きさに有意な差は現れず、例えば40頭を30頭に減らしても被害の減少を実感できない可能性がある。
大阪府では、2022年度から5年間の鹿の管理計画で、2026年度までに北部地域での推定生息密度の平均値を1平方kmあたり10頭以下にする目標を盛り込むとしている。
参考リンク:環境農林水産総合研究所