越境性病害虫対策シンポジウム、国際連携の重要さを確認。

植物の越境性病害虫に関連する分野の最前線で活躍する専門家や研究者の講演、討議を通じて、今後の有効な国際研究協力のあり方を探るJIRCAS国際シンポジウム2019「植物の越境性病害虫に立ち向かう国際研究協力〜SDGs への貢献」が開催された。
基調講演では、国際植物防疫条約 (IPPC) の事務局から「越境性植物病害虫との戦いに関する最近の課題と病害虫に対処する農民を支援するFAO(国連食糧農業機関)の戦略」、ついでCABI(国際農業生物化学センター)の事務局から「越境性植物病害虫管理に関するCABIの経験:植物の健康システムの強化と助言の重要性」が報告された。
続くセッション1では移動性害虫ツマジロクサヨトウの飛来解析と発生予察、アジアの重要越境性害虫イネウンカ類の殺虫剤利用技術の開発、アフリカの小規模農家のトウモロコシ畑におけるツマジロクサヨトウによるダメージと収量への影響についての発表があった。セッション2では、「越境性重要病害と検疫」というテーマで、イネいもち病の国際ネットワーク研究、ブラジルでの経験からダイズさび病の侵入と対処法、そして植物防疫とリスク管理が紹介され、パネル・ディスカッションでは、植物越境性病害虫の問題に対処するために必要な、今後の有効な国際研究協力のあり方について意見交換が行われた。そこでは世界的に問題になっているツマジロクサヨトウの対策に向けたエリアごとの連携の必要性、開発途上地域のキャパシティービルディング、国を越えた情報共有の必要性、注意喚起・モニタリング・診断・防除・イノベーションにおける行政・研究の連携、SNSなど新たなアプローチの利用など、研究機関の連携だけでなく、農家、普及機関、行政も含めて、国内あるいは国外との連携が必要であることが確認された。