和歌山で自家受粉品種ウメの栽培広がる。

和歌山県のウメの収穫量は、昭和40年産から55年連続日本一。2019年は前年比1万5,100t減の5万7,500tで全国生産の65%になる。
県内で栽培面積の83%を占める「南高」をはじめとした大粒品種は、実をつけるためには基本的に多品種のウメの花粉が必要。そのため栽培地では多品種のウメを「受粉樹」として10本に2〜3本の割合で混植、開花期の2月ごろに蜂などを使って受粉させる必要がある。蜂の動きが気温や風に左右され、着果にばらつきの出ることがあるため、県では近年自家受粉できる品種の開発に注力。2009年に登録された「NK14」は南高に自家受粉できる福井県の在来種「剣先」を交配。2013年に本格栽培が始まり、17年には96.3haまで栽培面積を伸ばしている。2019年には同じく南高と「地蔵梅」の交配種で黒星病・かいよう病に強い「星高」、2020年には南高と剣先の交配種で南高と開花時期が同じ「星秀」を開発。星秀は南高より実がやや小さいものの品質が良く、南高の受粉樹として利用することが可能。これらの自家受粉の新品種は、病気に強いため減農薬や有機栽培での利用などが想定されるが、青梅の販売時に「雑梅」扱いとなるため、ブランド確立など売り方が今後の課題となる。