土着天敵を活用した、施設キュウリ栽培のIPM技術を確立。

薬剤抵抗性が問題になっている害虫、ミナミキイロアザミウマとタバココナジラミ。これら害虫の発生抑制と、それらが媒介する黄化えそ病などのウイルス病発症の軽減を目指す中、施設キュウリ栽培におけるIPM(総合的病害虫・雑草管理)技術を、高知県農業技術センターが開発。土着のタバコカスミカメを中心とした天敵と、それら天敵への影響が小さい選択性農薬や防虫ネットなど既存の防除技術を組み合わせる。
実証実験では、下限12度を目安に設定したハウスに、10aあたり3,000頭のタバコカスミカメを2回投入。栽培初期に高い防除効果を発揮させるためスワルスキーカブリダニも同時に10aあたり5万頭を投入。タバコカスミカメはスワルスキーカブリダニが捕食しないミナミキイロアザミウマ2齢幼虫を捕食し、雌成虫は1日に165匹、雄成虫は124.8匹を最大で捕食すると推定。
土着天敵のタバコカスミカメを活用することで、栽培コストの削減が見込める。市販されるスワルスキーカブリダニは、ハウスキュウリ栽培では10aあたり約3万円のコストがかかるが、土着のものを採集・増殖させて利用するタバコカスミカメならその費用が発生しない。農薬の使用量も減らすことができるので、散布にかかる労力や時間を含めて低減する効果が高い。