線状降水帯の予報開始から1年。未解明な点多く、予想は未だ困難。
2022年6月から開始した線状降水帯予測は、発生のメカニズムに未解明な点が多く、予想が難しい。
線状降水帯とは、積乱雲が次々に列をなして発生し、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過、または停滞することで作り出され、線状に伸びて強い雨を降らせる現象。長さは50km〜300km、幅20km〜50km程度と狭く、顕著な大雨を降らし、毎年のように甚大な被害をもたらしている。
線状降水帯発生メカニズムの概要はわかっているが、発生に必要となる水蒸気の量や大気の安定度、上空の風などの要素が複雑に関係しているとみられ、その発生条件や強化、維持するメカニズムは未解明。また、予想には海上の水蒸気量の把握が重要になるが、地上に比べ海上の観測データが不十分なため、予想が難しくなっている一因ともなっている。
過去の線状降水帯による大雨の事例を、事後的に検証することにより、大雨の要因の分析が進むことで、線状降水帯の予測精度を高めようとしている。
線状降水帯が発生すると、大雨災害発生の危険度が急激に高まることがある。このため、大雨の可能性がある程度高いことが予想された場合に、半日程度前から「線状降水帯」というキーワードで呼びかけをおこなっている。予測が難しいため、必ずしも発生するわけではないが、大雨になる可能性が高いので、適切な避難行動をとることが重要となる。
参考リンク:線状降水帯に関する各種情報(気象庁)