農村政策で政府が支援課題を策定。
農水省が、食料・農業・農村基本計画の見直しに向け、今後の農村政策の方向性を公表。国土保全など農村の多面的機能は担い手だけでなく、小規模農家や農家以外の人を含めた「多様な地域住民全体」が支えていると指摘。農村に人が住み続けられるよう所得と雇用機会の確保、地域コミュニティーの維持・強化を打ち出した。同省だけにとどまらず、政府を挙げて後押しする体制構築などが課題となった。担い手への農地集積や規模拡大に偏った農政に限界があるとの指摘が有識者や与党内から相次ぎ、農村を支える多様な人材を重視する姿勢を打ち出している。
農水省は、所得や雇用確保の対策として、地域の特性を生かした作物の導入や複合経営、6次産業化、農泊、農福連携などを挙げた。
崩壊に向かっている地域コミュニティーの維持・強化に向け、地域の人材不足や高齢化を考慮しつつ、「活動組織の広域化・ネットワーク化・法人化」を進める。住民の暮らしを支えるサービスや機能を集約した「小さな拠点」づくりを「関係省庁と連携しつつ支援」するとした。
食料・農業・農村政策審議会企画部会では「省庁を超えて農村振興に関する検討委員会をつくるぐらいの横断的な取り組みが必要」「農水省が音頭を取って各省庁の取り組みを整理しながら進めてほしい」など、政府を挙げての対応を求める意見が多く出された。
これからの農村の方向性では、内外の多様な人材を地域活性化の活動に巻き込む「関係人口の増加」も掲げた。「農地を貸した人や農村を出た人が准組合員のような形で関係性を維持することも必要」「地域間の横のコミュニティーが地域を活性化する」など外部との交流を重視する意見も出た。