芋虫に感染したウイルスが、寄生蜂幼虫を死なす。

同じ芋虫を宿主とし、競争関係にある寄生蜂と昆虫ポックスウイルス(EPV)を使い、EPVに感染した芋虫の体内で寄生蜂幼虫が死ぬ原因となるタンパク質とそれを生成する遺伝子、蜂が死ぬメカニズムが解明された。

EPVに感染した芋虫の体内では、寄生蜂を殺すタンパク質(殺蜂タンパク質)を生成する遺伝子(PKF)が体液の中に蓄積する。ここに寄生蜂が寄生すると、蜂にアポトーシスを起こさせて殺す。これまで、昆虫は寄生蜂に対して昆虫自身の持つ細胞性の免疫機構で対抗しているとされてきたが、細胞性の免疫機構に加え、ウイルスによって体液中に分泌されるPKFが寄生蜂への防御機構として働いていることを世界で初めて明らかにした。これは、寄生蜂への新たな免疫機構の発見となる。
今後は、この成果を基にPKF以外の殺蜂タンパク質の探索や、より詳細な殺蜂メカニズムの解明を進めることで、寄生蜂の寄生能力の拡大や増強を図り、害虫防除技術に応用する研究を行っていく。

参考リンク:プレスリリース(東京農工大学)