気温2度上昇で8兆4,000億円、温暖化による世界の穀物被害。
地球温暖化が世界の主要穀物生産に及ぼす影響とその適用に要する費用は、気温が対工業化以前2度の上昇で世界全体の生産額は年間で800億ドル(約8兆4,000億円)相当の減少となる。
気候変動が世界の主要穀物に及ぼす経済的影響について、(1)収量低下による生産被害、(2)それを軽減する対策により軽減できる被害(適応費用)、(3)生産者が収益を確保できる範囲内で対策をとっても、対処しきれずに残る被害(残余被害)について算出。
(1)の生産被害では、トウモロコシ、コメ、コムギ、ダイズの合計で、世界の平均気温の上昇が1.5度で630億ドル(6兆6,150億円)、2度上昇で800億ドル(8兆4,000億円)、3度上昇では1,280億ドル(13兆4,400億円)と推定。
(2)の適応費用では、1.5度上昇なら被害額の84%にあたる530億ドル(5兆5,650億円)は費用をかけることで軽減することが可能だが、2度上昇なら同76%(610億ドル/6兆4,050億円)、3度上昇なら同61%(780億ドル/8兆1,900億円)と低下。
(3)の残余被害は1.5度上昇では16%(100億ドル/1兆500億円)に留まるが、2度上昇で24%(190億ドル/1兆9,950億円)、3度上昇で39%(500億ドル/5兆2,500億円)と増大。
対策をしても、対処しきれずに生じる生産被害が深刻化していくと予想。
今後、温室効果ガスの排出削減などで気候変動の進行を抑えることが重要となるが、想定以上の気候変動に備え、栽培作物の変更や灌漑設備の整備など、より大きな変化を伴う対策の検討が必要と提言。
参考リンク:農研機構