世界初のAM菌根菌の人工培養に成功、微生物肥料大量生産へ期待。

大阪府立大学と自然科学研究機構、信州大学、北海道大学などの共同研究グループは、JST戦略的創造研究推進事業ACCELにおいて、微生物肥料として農業への利用が期待されているアーバスキュラー菌根菌(AM菌またはVA菌根菌と呼ばれる)の単独での培養に世界で初めて成功した。これにより、AM菌を純粋培養して大量生産できる可能性が開けた。
環境負荷の低い次世代の栽培体系の一つとして有用土壌微生物の活用が世界的に活発化しているが、その中でも、AM菌に大きな期待が寄せられている。AM菌はイネ科やマメ科など重要作物を含むほとんどの植物と共生関係を結ぶことができ、必須栄養素であるリンを植物に供給する。しかし、植物と共生しないと生育できない性質のため、増殖に手間とコストがかかることが問題だった。
研究では、バクテリアとの共存培養によりAM菌の胞子形成が誘導されたという先行研究を手掛かりとして、バクテリア由来の枝分かれ脂肪酸に増殖促進効果があることを発見した。さらに不飽和脂肪酸であるパルミトレイン酸がより強くAM菌の生育を促進して胞子形成を誘導することを発見した。形成された胞子は、植物根に正常に感染共生して娘胞子を形成できることが判明。この結果により世界で初めてAM菌の純粋培養に成功した例となった。